
「誰もがそうであるように、私もここにいていい」人種差別的な職務質問をなくすために、私は闘い続ける。
9月29日と10月6日に東京地裁で原告と警察官への尋問が行われる「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」。原告のモーリス・シェルトンさんに、職務質問で感じた理不尽さと、変化を起こすために闘い続ける理由を聞いた。

2021年4月13日、バイクに乗っていたモーリス・シェルトンさんは都内の交差点で、警察官から職務質問を受けた。
——そのとき、あなたはどこへ向かっていたのですか?
シェルトンさんが営む個人ジムでの取材中、筆者が尋ねると、シェルトンさんは笑いながらこう答えた。
「この話をするたびに、おかしな話に聞こえてしまうのですが…… 実は知り合いのところまで、余ったピーナッツをもらいに行く途中だったんです。間違って買いすぎてしまったと言うから」
「本当にその日は何でもない、ありふれた一日だったんです」
だが、その日常は中断される。シェルトンさんは警察官らの求めに応じて、バイクを路肩に停め、免許証と在留カードを提示した。自分の運転方法に問題はなく、交通違反はしていないと感じたため、呼び止められた理由を尋ねたが、納得できる答えはなかった。
代わりに聞かれたのは、出身地や仕事、カードに記載された住所に本当に住んでいるのかということだったという。
シェルトンさんはアメリカ出身で、通算10年以上日本で暮らしてきた。日本人の妻と結婚し、永住権を持っている。5人の子を育てる父であり、経営者でもある。
だが、どこの出身で、何を仕事にし、今どこで暮らしているのか——それがこの日の運転とどう関係するというのだろうか。

「もし交通違反があったなら、注意して切符を切ればいいものを、明らかに関係のない質問をしてきたので、だんだん苛立ちが怒りへ変わっていきました。あからさまに疑いの目を向けられ、『ここにいてはいけない存在』かのように扱われたからです」
目の前の警察官にも、言いたいことが込み上げた。
「私もあなたと同じ一人の人間です。子どもや家族を養っていくために一生懸命働き、日本社会の一員として生きている、同じ一人の人間なんです、と」
日本の警察組織に根を張る「レイシャルプロファイリング」
不審事由がないにもかかわらず、特定の人種や肌の色、民族的出自などだけを理由に警察官が捜査や職務質問の対象を選ぶ「レイシャルプロファイリング」。
シェルトンさんが原告の一人として声を上げた「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」は、こうした「レイシャルプロファイリング」にあたる職務質問の撤廃を求めて、2024年1月に国と東京都、愛知県を相手に提起された裁判だ。
原告側は、原告それぞれが受けた職務質問について、人種や肌の色などだけを理由にしたものであり、憲法や、日本が締結する人種差別撤廃条約、自由権規約にも違反すると主張する。





